クセについて

人のペンを持つ持ち方(角度や左右への寝かせ方)、いわゆるクセは十人十色です。

私が長年万年筆に携わっていえるのは、人は誰ひとりとして同じクセを持つ人はいません。
また、その人の生まれつきともいえるクセは生涯変わることが決してありません。

だからペンが使う人の持ち方(クセ)を要求するなどということはあってはいけないのです。

ましてや五角研ぎにおいてはペンが紙を平面で捉えることを目的にしていますから、
その人の書きクセを見極めるのは調整をする上で非常に重要なことになります。

よく使い込まれたペン先は、刀で大根を切ったような形をしています。
このような場合、誰かがそのペンを借りて使い元の場所に戻したとしても、
「勝手に誰かがオレのペンを使ったな」とわかるものです。