日本字について

伍角研ぎの万年筆では日本字がうまく書ける、と述べましたが、
これは他の人が見てきれいだと思うのとは少し違います。
自分が納得できる字を書くことが出来るということです。

例えば、誰かに手紙を書いた時に「きれいな字だね」と言われても、
自分で納得できないと投函するのをためらう思いをしたことは
ないでしょうか。逆に「あまり字がうまくないね」と言われたと
しても自分で納得していれば堂々と投函できると思います。

つまり、文字を通して自分の気持ちが伝わることがとても大事なことだと思います。

日本字には、漢字、ひらがな、カタカナとありますが、西洋の
アルファベットと違い一字一字に奥深い意味を表現する独自の
機能があると思います。

日本字には抑揚や、とめ、はね、はらいなどあり、ましてや漢字は画数も多く、
表意文字ですから非常に複雑ですが、自分の喜怒哀楽なり
内面にあるものを相手により正確に伝え、残すことが出来るとすれば、
それは優秀な文字だと言えるのではないでしょうか。

昔の日本人は全てを毛筆で書いていました。そのような気候風土に育まれた
文字は書道という芸術の域まで高められ、今でもそこで進化をし続けています。

詳しくは後述しますが、日本の「万年筆」とはそのような中で産まれてきたものです。