日本での万年筆の成り立ち(3)

同時に、日本のメーカーは外国人技術者を招聘し万年筆を製作するようになりました。
日本人による日本字を書くためのペン先が必要であったのです。

アルファベットなどの横文字では筆記において縦の線と横の線が同じ太さか、
もしくは横の線がやや太く縦の線がやや細い方が好まれます。
実際にモンブランのパンフレットにはそのような筆記見本が載っています。

montblanc_01.jpg
BB以降のより太い筆跡にその特徴が出てきます。「T」「t」の文字で顕著で
なのがおわかり頂けると思います。

ところが、日本字には「とめ、はね、はらい」があり、強い筆圧をかけたときには
字が太く力強く、弱いときには繊細な字の表現が求められました。
毛筆のように縦の線はやや太く、横の線はやや細い方がきれいに感じてしまうのです。

西洋ではあまり考えられず、気に止めないような文字の筆跡でも、そこに感情表現を
求めて日本の職人は万年筆を作り込んでいったのです。

このような感性は日本人特有のものであったと思います。