浸透印(1)

現在、シャチハタのネーム9などに代表される浸透印が一般普及していますが、実は
その原型となるものを当社で開発していました。


・開発の背景

万年筆の初期において、不完全なインキ止式万年筆をインキ漏れしない、書いていて
インキ切れしない、又書いていてインキがボタ落ちしないようにするため当社でも
日々研究を重ねていました。

そこで毛細管現象に着目し、ペン芯に縦溝、横溝のバランスをとることでインキの出を
コントロールすることを考えていました。

実験としてエボナイトの棒に極微細な縦溝を切り、水に差して置くと1~2mは水が
上がってくるのです。そして細いエボナイト棒に縦溝を沢山切ると全部の溝に均等に
水が上がってきました。これが浸透印の着想の原点です。

・製造方法

万年筆のペン先は主に14金で出来ていますが、その先端はイリジウムという金属が
取り付けられています。このイリジウムを取り付ける際には電気溶接をしていました。

簡単にいうと、ペン先とイリジウムにそれぞれプラスとマイナスの電極を与えスパーク
させて溶接する方法です。

そこで、この電気溶接のための機械を利用して、印材として優れている柘の木を輪切り
にして取り付け、回転させながら連続して放電すると木の導管に沿って微細な穴が無数
空くのです。


このようにして出来たのが当社の「浸透印」です。