浸透印(2)

あまり知られていないかも知れませんが山梨県は六郷に代表されるように印鑑の生産が
盛んで印材、印鑑業者は全国に販売をしていました。

その販売ルートにのせて「浸透印」を販売したところ非常に好評を得ました。

朱肉無しで連続して押せるということと、現在のゴムでできたものとは異なり、柘で
作られていますから実印登録も出来ることが受け入れられ、特に朝鮮、満州では飛ぶよう
に売れたそうです。

しかし、戦争が激化し、職人が出征したり材料の入手が困難になったことで次第に
生産は尻すぼみとなってしまいました。以下当時の製品の写真です。


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万年筆屋でしたので万年筆をモチーフにしています。

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印面のまわりの赤い部分は水分による木の膨張を押さえるための樹脂です。

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印面を彫っていない状態です。


ちなみに当初は浸透印の製法を秘密にしていましたが、昭和24年に「浸透印」の
製品名で特許登録しています。

現在当店にて実物を展示中です。現在は製造・販売をしていませんが、当時の裏話
などご興味のある方は是非ご来店下さい。